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とうきょうようさい

東京要塞

海野 十三

「サンデー毎日」毎日新聞社、1938(昭和13)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,341 字 · 37 页

青空文庫

「どうも分らん。しかしマール号の極東派遣をうっかり喜んでいられないということだけは分る」

遣日艦マール号

この遣日艦マール号は、十二月一日、無事芝浦埠頭に着いた。

出迎えと見物とに集った十万人ちかい東京市民の間を、マール号の陸戦隊員二百名が、例の記念塔を砲車牽引車に積んで、粛々と市中を行進した。

それを見ると忠魂記念塔は、長いままではなく、七つの部分に切断され、一つ一つがそれぞれ前後二台の牽引車によって搬ばれていったのである。

派遣部隊の長列は、町の大通りを大きな音をたてて行進し、この塔が建設されるS公園の前を通り、やがて某大国大使館の中に入った。

公表されたところによると、このバラバラの記念塔は、大使館内で荷を解かれ、罅や傷の有無を十分に確かめた上で、三日後には華々しくS公園へ搬びこまれ、盛大な儀式が行われることになっていた。

その前夜、大使パット氏は、AKのスタディオから全国中継をもって、忠魂記念塔の到着を披露し、

「――どうか御安心下さい。本国から随伴してきた工廠技師の厳密な試験によりまして、七個からなる忠魂塔の各区分には、いささかの罅も入っていない実に立派なものであるということを証拠だてることができました。