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いなかがえり
林芙美子随筆集
林 芙美子
林芙美子『林芙美子随筆集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:田舎がえり、落合町山川記、貸家探し、生活、文学的自叙伝、恋愛の微醺、朝御飯、着物雑考、新生の門、平凡な女。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,157 字 · 118 页
大いに考えるつもりでもあったのです。旅の間中、小説を書きたいと思いました。
昭和六年三月、私は処女作として『風琴と魚の町』と云うのを改造へ書かせて貰いましたが、大人の童話のようなものでした。小説の形式では、その年の正月から約二ヶ月、東京朝日新聞の夕刊に『浅春譜』と云うのを発表していましたが、大変失敗の作でした。
プロレタリア文学はますますさかんでした。私は、孤立無援の状態で、自分の一切に絶望していました。仕事してゆく自信、生きてゆく自信がなくなり、どこか外国へ行ってみたくて仕方がありませんでした。
旧作、『清貧の書』の書きなおしにかかり、その年の改造十月号に清貧の書を送り、雑文でよせあつめた金を持って、私はシベリア経由で、昭和六年仏蘭西へ旅立って行きました。なかなか、この当時、私は行動主義でもあったわけです。再び日本へは帰って来られないと思いました。シベリアのさまざまな雪景色を眺めて、外国でのたれ死にするかも知れないと、本気でそんなことを考えていました。巴里に着いてからも私から雑文書きの仕事は離れないのです。着くと早々フランが高くなった為に、私は毎日々々アパルトマンの七階の部屋で雑文を書き、巴里へ送って来た金を逆に日本の両親のもとへ送らなければならなかったのです。