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そめきちのしゅぼん
染吉の朱盆
国枝 史郎
「サンデー毎日」1927(昭和2)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,824 字 · 35 页
「恋病だあね、それで死んだのさ」
「そうチョロッかに片付るなら、辻切の方だって片がつく、切りっぱなしで消えたんだとね。……だがそれだけでは済むまいぜ、俺等の商売からいく時はね」
「十年前の出来事じゃァねえか」
「ところがお前そうじゃァないんだ、俺等の仲間で競争的に、その謎解きにかかっているのさ」
「へえ、そいつァ物好きだなあ」岡八一寸眼を見張った。「初耳だよ、そんな話は」
「お前は一人で高くとまり、俺等とあんまりつきあわないからさ」
「それにしても暇の連中だなあ、この小忙しい浮世によ」
「そこで連中はいっているのさ。岡八兄貴なら解けるだろう。もし又こいつが解けねえようなら、岡八なんかとはいわせねえとね」
「えらく皆に憎まれたものだな」岡八ニヤリと笑ったが、どうしたものか膝を打った。それからヒョイとをしゃくった。「よし来た、それじゃァ解いてみせよう!」
「え、本当か! そいつァ豪勢だ!」
「しかも、きっと今日明日の中にな」
四
半九郎が帰ると岡引の岡八、フラリと皆川町の家を出た。
「いや、いい話を耳にした、お縫様屋敷もさることながら、こっちの事件に役立ちそうだ。