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りゅうえいひろくかつえぐら
柳営秘録かつえ蔵
国枝 史郎
「国民新聞」1926(大正15)年1月5日~15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,933 字 · 27 页
お粂婆さんと来たひにゃア、骨までしゃぶろうっていう強欲だからな。構うものか呶鳴ってやりねえ。俺らも助太刀をしてえんだが、今日は駄目だ、考え事がある」
「お養母さんと喧嘩も喧嘩だが、今度はそれが大変なのでね、妾ひょっとすると浅草へは、もう出ないかもしれないよ」
「や、こいつア驚いたなあ。実は俺らもそうなのだ。術を見破られてしまったんだからな。気恥しくって出られやしねえ」
「じゃア一緒には帰られないの」
お杉は寂しそうな様子をした。肩を縮め首を垂れ、車坂の方へ帰って行った。
「いやに寂しい様子だなア」
ふと鬼小僧はこう思ったが、もうその次の瞬間には、自分の問題へ立ち返っていた。
日が暮れて月が出た。寒月蒼い境内には、黙然と考えている鬼小僧以外、人の姿は見られなかった。
と、鬼小僧は突然云った。
「解った! 箆棒! 何のことだ!」
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「解った! 箆棒! 何のことだ!」
こう叫んだ鬼小僧は、尻をからげて走り出した。
浅草から品川まで、彼は一息に走って行った。浜御殿を筆頭に、大名屋敷下屋敷、ベッタリその辺りに並んでいた。尾張殿、肥後殿、仙台殿、一ッ橋殿、脇坂殿、大頭ばかりが並んでいた。