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かきのきのあるいえ
柿の木のある家
壺井 栄
「柿の木のある家」山の木書店、1949(昭和24)年4月20日<br>「海のたましひ」大日本雄辯會講談社、1944(昭和19)年6月14日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 15,460 字 · 32 页
昔から裁縫がすきで、だから上手でもあるらしく、となりの村からまでたのみにきました。中納戸の戸だなの中は、いつも仕立ものが一ぱいで、おかあさんはいつでも仕事におわれていました。フミエたちが夜中に目をさますと、電灯をひくく下げて、せっせと針を動かしているおかあさんを、みないことはないくらいです。けれど、そのおかあさんに久しぶりに赤ちゃんができることになり、だんだんその日が近づくと、もう仕事をやめて家の中をかたづけはじめました。戸だなの中に残っている仕立ものにそれぞれたのまれた人の名札をつけたり、とどけるものはとどけたり、そしてそれを手伝っているフミエに、
「女のお産は命がけと昔からいわれているでしょう。もしものとき、あとに恥をのこさないように。フミエは女だからよくおぼえていらっしゃい。」
あらたまったようなおかあさんの言葉に、フミエはうなずきながら、思わず涙ぐみました。もしもおかあさんにどうかあったらどうしようと思ったからです。しかしおかあさんは平気で、
「そんな心配そうな顔しないでもいいの。案じるより産むがやすい、というくらいだからね、おかあさんはちっとも案じていないのよ。