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えいぞうのし
栄蔵の死
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社、1981(昭和56)年12月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 38,295 字 · 77 页
栄蔵は、だまって、墨色をした鉢と、火の様な花を見ながら深い思いに沈んだ。
何故斯うやって、仲の悪い同志が不思議にはなれられない縁でむすばって居るのだろうか。
早く、どっちかが死ねば少しはよくなるだろうのにそうもならない。
自分からして生きたくないのに生きて居なければならないのも何故だろう。
世の中が、平ったいものであったら、その突ぱなまで一束飛びに飛んで行って、そこから一思いに、奈落の底へ身でもなげたい様な気持になって居た。
恭二が良吉より先に帰って来ると、お君は何か涙声でボツボツと只気休めに、養母に頭を押えられて居る力弱い夫に訴えて居た。
気の置ける夕飯をすますとじきに疲れて居るからと云って栄蔵は床に入ってしまった。
お君は父親を起すまいと気を配りながら折々隣の気合をうかがって、囁く様に恭二に話した。
川窪で若し断わられたらどうしよう、東京中で川窪外こんな相談に乗ってもらう家がない。
どうもする事が出来ずに父親が帰りでもしたら又何と云われるか分らない。
それでなくてさえ、
「義母はんはこないだも義父はんと云うてでしたえ、
若しお金をどむする事出けん様やったら私早う戻いて仕舞うた方がええてな。