轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
えいぞうのし
栄蔵の死
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社、1981(昭和56)年12月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 38,295 字 · 77 页
(一)
朝から、おぼつかない日差しがドンヨリ障子にまどろんで居る様な日である。
何でも、彼んでも、灰色に見える様に陰気な、哀れっぽい部屋の中にお君は、たった独りぽっちで寝て居る。
白粉と安油の臭が、プーンとする薄い夜着に、持てあますほど、けったるい体をくるんで、寒そうに出した指先に反古を巻いて、小鼻から生え際のあたりをこすったり、平手で顔中を撫で廻したりして居たけれ共一人手に涙のにじむ様な淋しい、わびしい気持をまぎらす事が出来なかった。
切りつめた暮しを目の前に見て、自分のために起る種々な、内輪のごたくさの渦の中に逃げられない体をなげ出して、小突きあげられたり、つき落されたりする様な眼に会って居なければ、ならない事は、しみじみ辛い事であった。
こんな、憂目を見る基を誰がつくったと云えば皆、智恵の少ない自分の両親である。
内々の事を何一つしらべるでもなく只「血続き」と云う事ばかりをたのんで、此家へ自分をよこした二親が、つくづくうらめしい気になった。
いくら二十にはなって居ても母親のそばで猫可愛がりにされつけて居たお君には、晦日におてっぱらいになるきっちりの金を、巧くやりくって行くだけの腕もなかったし、一体に、おぼこじみた女なので長い間、貧乏に馴れて、財布の外から中の金高を察しるほど金銭にさとく