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きょうゆう
梟雄
「文藝春秋 第三一巻第八号」1953(昭和28)年6月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,160 字 · 31 页
やがて道三がビョウブの蔭から現れて信長の前へ来た。信長はまだ知らんフリしていた。道三の家老堀田道空が――彼はこの会見の申し入れの使者に立って信長とはすでに見知りごしであるから、
「山城どのです」
と信長に云った。すると信長は、
「デアルカ」
と云って柱からはなれ、シキイの内へはいって、それからテイネイに挨拶した。
ただちに別室で舅と聟の差向い。堀田道空の給仕で、盃ごとをすませ、湯漬けをたべる。二人は一言も喋らなかった。
道三は急に不キゲンになった。毒を食ったような顔になって、
「また、会おう」
スッと立って部屋をでてしまった。
★
世間へもれた会見の様子はこれだった。
ところが、この日を境いにして、道三と信長はその魂から結び合っていたのである。
信長が正徳寺の会見から帰城すると、その留守中を見すまして、亡父の腹心山口がムホンし、しきりに陣地を構築中であった。
つづいて多くの裏切りやムホンが起った。彼らは道三が大バカヤローの聟に見切りをつけて、バカの領地は遠からず道三の手中に帰するだろうと考えたのである。
ところがアベコベだ。彼らがムホンする。