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きょうゆう
梟雄
「文藝春秋 第三一巻第八号」1953(昭和28)年6月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,160 字 · 31 页
そして常人の努力は旧来のものを巧みにこなすことにだけ向けられている。それは新しい発見や発明が起るまではそれで間に合うにすぎないものだ。
まず彼が発見した有利な武器は、敵の物よりも長い槍であった。普通短槍で一間余、大身の槍で二間どまりのところであるが、彼は普通人の体力で三間、さらに三間半まで可能であると考えた。
その長槍は丁々発止と打ち合うには不向きであったが、彼はその槍で打ち合うような戦争の方法を考えていなかった。
野戦に於て、主力との正面衝突が行われるとき、両軍はまず槍ブスマをそろえて衝突するのが普通だ。そのとき、敵よりも長い槍の槍ブスマが敵の胸板を先に突き刺すにきまっている。
さてその槍を再び構えて丁々発止とやれば今度は不利であるけれども、再びその槍を構える必要はないではないか。最初の衝突で敵の胸板を突きぬいたとき、長槍の任務は終っているのだ。あとは刀をぬいて接近戦にうつってよかろう。
この原理は槍に限ったことではなかった。後日鉄砲が伝来すると、あらゆる武将がこの革命的な新兵器に注目した。云うまでもなく、鉄砲の前では長槍も弓矢も問題ではなかった。