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もりのいしまつ
森の石松
山中 貞雄
「シナリオ・臨時増刊号」1937(昭和12)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,949 字 · 49 页
石松、表へ出る。
S=表
石松、隣りへ行く。
S=店
次郎長が足を拭き終って上へ座る。お静、次郎長にお茶を出す。
「どうぞ」
「や、こりゃどうも」
「あら随分破けてんですねえ」
「え」
「縫いましょうか」
「いや、どうも済みません」
お静、糸と針を取りに立つ。
源兵衛が、
「清水の次郎長さんとか仰言いましたが、お前さん、やくざ渡世の人だろう」
「そうだ、爺つあん」
お静戻って来て
「はい、縫いますわ」
「あ、こりゃどうも済まない」
源兵衛が、
「失礼だが、此処は堅気の年寄りの住居だ。お前さんのような兇状持の来る処では御座いません」
「爺つあん、何んだって?」
「見れや、怪我をしていなさる様だが、歩けないと云う程の傷でもなさそうだ。ね、次郎長さん、この儘伜に黙って出て行って下さいませんか」
「何んだと?」
「石松が今夜お前さんを家へ連れ込んだのは、彼奴がお前さんの身内になりたいからだ。石松はお前さんの児分になりたいらしい。儂にはよく判る。次郎長さん、何んにも云わずに出て行って呉れ。儂ァたった一人の伜をやくざ渡世にしたくねえからな……」
凝ッと聴いていた次郎長、