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かんおけのはなよめ

棺桶の花嫁

海野 十三

「ぷろふいる」1937(昭和12)年1~3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 42,845 字 · 86 页

青空文庫

ミチミは何処で求めたものか彼女らしい気品の高い単衣を着、そしてその上に青い帯を締めていた。

「よく分ったネ。こんな所にいるということが――」

「ええ。――でも、新聞に貴郎のことが出ていたわ。ほんとに今度は、お気の毒な目にお遭いになったのネ」

「いや、やっぱり僕の行いがよくなかったんだ。魔がさしたんだネ。誰を怨むこともないよ」

杜は心の底から懺悔の気持になった。

「そうネ。世の中には、自分の考えどおりにならないことが沢山あるのネ。今のあたしもそうなのよ」

ミチミはそれを鼻にかかった甘ったるい声でいって、眼を下に俯せた。そこには単衣をとおして、香りの高いはち切れるような女の肉体が感ぜられる、丸々とした膝があった。杜はムラムラと起る嫉妬の念を、どう隠すことも出来なかった。

「もうわざとらしい云い訳なんかしないでいいよ。君は正面きってあの長髪の御主人の惚気を云っていいんだよ」

「まあ、――」

ミチミは張りのある大きな眼で杜を見据えた。

「貴郎はあたしのことを誤解しているのネ。きっと御自分のことを考えて、あたしの場合も恐らくそうだろうと邪推しているんでしょ。そんな勝手な考え方はよしてよ。