轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

04 第四部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,078 字 · 285 页

青空文庫

こういう情勢の中で、伊東家再興という問題は殆んど決定的になり、ただ、跡目の選定というところで議論が出ていた。老職の多くはそのまま采女を据える、という意見であったが、これは両後見、兵部宗勝と田村右京によって拒まれた。

――采女はもともと養子であり、まだ子もないことであるから、再興するなら新たに養子を入れるほうがよい。

そして亘理郡亘理の館主で、故政宗の第九子に当る安房宗実の二男、刑部宗定がよろしかろう、という案を出して来た。これが一ノ関の主張であるということは、誰の眼にも紛れのないところであった。一ノ関は故政宗の末子、すなわち第十子であって、亘理の安房宗実はすぐ上の兄である。その子に伊東を継がせようという主張には、安房を自分の勢力内にひきいれ、また一家の地盤を固めようとする底意がみえすいていた。

柴田外記はそれを指摘し、「一ノ関」の名こそ口には出さなかったが、伊東家を再興するなら、元のとおり采女をもって館主にするのが至当である、という意見を固持していた。茂庭主水がそれに強く同意を表明していた。主水にはそれだけの理由があったのだ。はじめ席次の諍いがあったとき、罪科の申渡しをしたのは主水であり、七十郎を同伴して出頭せよ、という旨を命じたのも彼であった。