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とちのはな
橡の花
「青空」1925(大正14)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,685 字 · 22 页
私は憎みました。致命的にやっつけてやりたい気がしました。そして効果的に恥を与え得る言葉を捜しました。ややあって私はそれに成功することが出来ました。然しそれは効果的に過ぎた言葉でした。やっつけるばかりでなく、恐らくそのシャアシャアした婦人を暗く不幸にせずにはおかないように思えました。私はそんな言葉を捜し出したとき、直ぐそれを相手に投げつける場面を想像するのですが、この場合私にはそれが出来ませんでした。その婦人、その言葉。この二つの対立を考えただけでも既に惨酷でした。私のいら立った気持は段々冷えてゆきました。女の人の造作をとやかく思うのは男らしくないことだと思いました。もっと温かい心で見なければいけないと思いました。然し調和的な気持は永く続きませんでした。一人相撲が過ぎたのです。
私の眼がもう一度その婦人を掠めたとき、ふと私はその醜さのなかに恐らく私以上の健康を感じたのです。わる達者という言葉があります。そう云った意味でわるく健康な感じです。性におえない鉄道草という雑草があります。あの健康にも似ていましょうか。――私の一人相撲はそれとの対照で段々神経的な弱さを露わして来ました。