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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

03 第三部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 117,781 字 · 235 页

青空文庫

三 無計画の計画(※(ローマ数字2、1-13-22))

それを忘れて傲慢になっちゃあいかんと思うね。」

恭一は藁の中でうなずいた。そして、いくらか冗談のように、

「君がそんなことを言い出すようになったのも、やはり無計画の計画の一つだろう。」

「たしかにそうだ。その意味でも次郎君に感謝していいね。」

次郎は、二人の言っていることが、まだはっきりのみこめなかったところへ、だしぬけに自分の名前が出たので、何か変な気がしながら、

「どうしてです。」

「つまり、君の可憐さが、僕たちのこの三四日の生命をささえて来たことになっているからさ。」

次郎は、不平を言っていいのか、喜んでいいのかわからなかった。すると恭一が言った。

「しかし、自分の可憐さを自覚したら、おしまいだね。」

「そりゃあ、そうだ。」

と、大沢は何か考えているらしかったが、

「じゃあ、この話はもうよそう。」

次郎は、何かいやなあと味を残されたような気持だった。しかし、大沢も恭一も、それっきり静かになってしまったので、いつの間にか自分も眠りに落ちていった。

三 無計画の計画(※(ローマ数字2、1-13-22))

それからどのくらいの時間がたったのか、次郎は、小屋のそとから誰かしきりにどなっているような声をきいて、はっと眼をさました。