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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

03 第三部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 117,781 字 · 235 页

青空文庫

通されたのは、大きな炉の切ってある十畳ほどの広い部屋だった。老人は、

「さあ、あぐらをかいておあたり。寒かったろうな。……何でも、今きくと、藁小屋に寝ていたそうじゃが、あんなところで眠れるかの。」

と、自分も炉のはたに坐って、茶をいれ出した。

「ふとんより温かいです。」

大沢が朴訥に答えた。

「ほう。そんなもんかの。で、飯はどうした、まだたべんじゃろ。」

と、老人は柱時計を見て、

「今から炊かしてもええが、もうみんな寝てしもうたで、今夜は芋でがまんするかの。芋なら炉にほうりこんどくと、すぐじゃが。」

時計は、もう十二時をまわっていた。大沢は微笑しながら、

「芋をいただきます。」

「そうしてくれるかの。」

と、老人は自分で立ち上って台所の方に行った。三人は顔を見合わせた。大沢は笑ってうなずいてみせたが、恭一と次郎とは、まだ硬ばった顔をしている。

間もなく老人は小さな笊を抱えて来たが、それには里芋がいっぱい盛られていた。

「小さいのがええ。これをこうして灰にいけて置くとすぐじゃ。」

と、老人は自分で三つ四つ里芋を灰にいけて見せ、

「さあさ、自分たちで勝手におやんなさい。