轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

05 第五部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,443 字 · 398 页

青空文庫

そして、その間にかれが示した気魄と機知と、明徹な論理と、そして自然のユーモアとは、異変に眩惑されていた塾生たちを常態に引きもどすのに大きな役割を果たしたのである。

青山敬太郎は大河ほど雄弁な口はきかなかった。かれはむしろ沈黙がちであり、ごくまれに断片的な意見を発表するにすぎなかった。しかし、かれの明敏さと誠実さから出る言葉は、田川大作のような激情家や、飯島好造のような機会主義者の言葉とはいい対照をなしており、それが他の塾生たちの心の動きに及ぼした効果は、決して小さいものではなかった。

こうして、この晩の研究会は、いつもにない波瀾を見せたとはいえ、一二のすぐれた塾生の協力によって、ともかくも友愛塾らしい結論を生み出すことに成功して、最後の幕をとじた。さすがの田川大作も、大河無門の気魄がぐいぐいと全体の空気を支配して行く力には勝てず、とうとう「そうかなあ」という嘆息に似た言葉を最後にもらして、旗をまいたのである。

ただふしぎだったのは、次郎の態度だった。かれは、はじめから終わりまで一言も口をきかなかったが、そうしたことは、これまでに全く例のないことだった。