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かしゅう『ぎょうじつ』のちょしゃに
歌集『仰日』の著者に
宮本 百合子
「新日本歌人」1951(昭和26)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,558 字 · 4 页
過日『仰日』ならびに『檜の影』会からお手紙を頂き重ねてあなたからのお手紙拝見いたしました。『仰日』を拝見して、短歌については素人ですが一つ二つ感想を申上ます。
わたくしは一人の読者として『仰日』におさめられている多くの生活の歌につよく心をひかれました。父をうたい祖母を語り、故郷の生活について描いて来た作者が、妻を得て、そこに独特のいつくしみ合いをもって生きつつある歌の数々は、『仰日』をつらぬく紅い糸のようです。うたわれている妻なるひとが、どんなにまめやかであり、自然なこころもちの婦人であるかということや、独特の夫妻としてのつながりのうちに、微妙な情愛のゆきかいのあることなどが、しみじみと感じとられます。夫婦が、たすけあって畑仕事をしたりしているところの歌は、世間のどの歌人もふれ得ない境地に立っていると感じました。
わたくしは、小説をかく者ですから、『仰日』をはじから拝見しながらも、いつかそれを生活的に立体化して感受し、日々の生活の描写にまじえて、自然鑑賞の歌をうけとるという工合になります。生活の歌はほとんどすべて率直であって、その瞬間の真実に立って独自です。