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しょうごのさつじん

正午の殺人

坂口 安吾

「小説新潮 第七巻第一〇号」1953(昭和28)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,888 字 · 28 页

青空文庫

「アケミさんも?」

「左様。それが毎日の例なんだ。神田氏の食事の時間は不規則でずれてるから、アケミさんはオレを待ってて一しょにサンドウィッチとコーヒーをとる。いつもなら女中が運んでくるが、その日はアケミさん自身が運んでくれて差向いでいただいた。十分間ぐらいして、サンドウィッチをほぼ平らげたころに、浴室の神田氏がタオルと怒鳴ったので、アケミさんは座を立った」

「それまでは君と一しょだね」

「左様。台所へサンドウィッチを取りに立ってくれた以外はね。さて神田氏はシャワーをとめてアケミさんからタオルをうけとってくるまって……」

「見ていたのかい」

「バカ。よその浴室をのぞく奴があるかい。神田氏は口笛ふいて寝室へかけこみ、アケミさんは広間へ戻ってきた。そのときアケミさんはうかない顔で、先生が待ちかねてるが、電車で安川さんと一しょじゃなかったかと訊いたんだ。さてはあの美女が安川嬢かと思うところへ安川嬢が到着したのさ。アケミさんが安川嬢を居間へ通す。とたんに寝室の先生が大声でアケミさんを呼んだからアケミさんはドアから首だけ差しこんで」

「ドアから首だけだね」

「左様。先生がアケミさんに散歩してこいと云った」