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しょうごのさつじん

正午の殺人

坂口 安吾

「小説新潮 第七巻第一〇号」1953(昭和28)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,888 字 · 28 页

青空文庫

そしてアケミさんとはそういう結びつきではないかというモットモらしい結論になっていたのである。

いつも時間がきまっているから、アケミさんはかねて用意しておいたサンドウィッチとコーヒーを持参する。

「原稿できてますか」

「ええ、できてます。ここにあるわ」

マントルピースの上から原稿をとって彼に渡した。

「ありがたい。いつもキチョウメンにできていて、助かりますよ」

こういう大家になると時間はむしろキチョウメンで、いつも午前中にチャンと一回分できあがっている。ついでに四五日ぶんまとめてやってくれると助かるのだが、毎日キチョウメンにできてるだけでも上の部でゼイタクは云えない。

「オーイ! タオル!」

神田が浴室で怒鳴っている。ハーイ、とアケミさんが浴室へ駈けこんでいった。文作が来たときからジャージャー流れていた水の音がようやく止ったのは、神田がズッとシャワーを浴びていたのであろう。

「それ。寒い。寒い。寒い。早く、早く」

と寒そうな声でせきたてているのはアケミさんだ。タオルでくるんでやっているのだろう。神田は口笛を吹きながら寝室へ駈けこんだらしい。神田を寝室へ送っておいて、アケミさんだけ出てきた。