轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

せいぎ

正義

浜尾 四郎

「新青年」博文館、1930(昭和5)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,327 字 · 43 页

青空文庫

まさか彼が殺したとは疑われはしまい。けれど、子爵が彼にこんな大金をそっくり今くれたという事を誰が証明してくれるか。彼は考えた。もし、彼がもらった事を主張すれば、役人たちはそれを信じないのみならず、却って死因までを疑いはしまいか。慾をすてれば何でもない。黙って札束をつきもどしておいて人をよべばいいのである。けれども金はのどから手が出る程ほしい。のみならず、この場合、仮令証人は居なくとも正当に自分の権利に属している自分の金なのだ。

彼は迷った。迷った結果、愚かにもそのまま黙って自分の室にしりぞいてしまったのだった。

思えば子爵も罪作りさね。ほんとに森木にあれをやるだけの好意をもってるなら、何とか一片の遺書を残しておいてやればよかったのさ。あれでは若いあの男を疑わせるようなものだからね。

一晩中悶々として森木はとこの中で弁解の方法を考えたが結局いい考えは出なかったわけなのだ。そしてやはりこわいもの見たさで、とうとう自分で子爵の室まで行って見てはじめて翌朝発見したふりをして皆をよび立てたんだ。だから彼の申立にあやしい所のあるのは無理もない。従って又警察で疑われてもやむを得ないのだ。