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しけんといきなわ
死剣と生縄
江見 水蔭
「講談倶楽部」1925(大正14)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,104 字 · 31 页
は玩具の如く扱われて了ったのだ。
講武所に学びては、主として今堀摂津守の指南を受けていたが、其他に、麻布古川端に浪居して天心独名流から更に一派を開きたる秋岡陣風斎に愛され、一師一弟の別格稽古を受け、八方巻雲の剣法の極意を相続する位地にまで進んだので有った。
「その伝授の前に、必ずそれは武者修行に出て、一度は廻国して来なければ相成らぬ。と云った処で、普通の道場破りをして来いと申すのでは無い。先ず香取鹿島及び息栖の三社、それに流山在の諏訪の宮、常陸は阿波村の大杉明神、立木村の蛟※神社、それ等の神々に詣で、身も心も二つながら清めて、霊剣一通り振り納め、全く邪心を去って来れば好い。其他の神詣では追々の事として苦しゅう無い」
秋岡陣風斎から一師一弟、八方巻雲の剣法を授かる為に、竜次郎の廻国は始ったので有った。処が大杉明神で停滞したので有った。それは併し如何考えても不思議というより他は無かった。
押砂河岸に上る前に、木下河岸で朝早く売りに来た弁当を買った。それの刻み鯣に中って腹痛を感じたとのみは思えなかった。其前に船中の人いきれに、喉の乾きを覚えた時、お鉄が呉れた湯冷しというに、何やら異臭が有った。