轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

さつじんのはて

殺人の涯

海野 十三

「読書趣味」1933(昭和8)年10月創刊号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,631 字 · 6 页

青空文庫

すると今度は、両腕が全く動かなくなってしまった。警官が私の腕をシッカリ抑えてしまったのだった。万事休す!。

「私は女房を殺すつもりは無かったのです。嘘は云いません。本当なのです。私はよくそれを知っています」

私はポロポロ泪を流しながら、警官に訴えた。桶の中には白い液体が生き物であるかのように独りで渦を巻いている。しかしその液体には今や明ら様に大きい赤い塊――それは女房の肉塊だった――がポッカリと浮かんでいた。執念ぶかい肉塊だった。恐ろしさの余り、急に眼がクラクラッとした。そして意気地なくもその場に仆れてしまった。しかし尚も私は叫びつづけた。

*   *   *

「私は女房を殺す気はなかったのです」

「女房を殺す気はなかったのに、とうとう殺してしまった」

私は尚も叫んでいた。

「ホ、ホ、ホ、ホ」

女の笑う声がする。おお、あれはたしかに死んだ女房の笑い声だ!

声のする方を見ると、いつの間にか女房が私と肩を並べて歩いている。

「ホ、ホ、ホ、ホ」

と女房は笑いつづける。

私は急に恥かしくなって来た。女房は生きていたのだ。それだのに、「私は女房を殺した」と怒鳴っていたのだ。