轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
どくぐさ
毒草
江戸川 乱歩
「探偵文藝」奎運社、1926(大正15)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,692 字 · 10 页
私の家の二階から、その哀れな姿が毎日眺められるのだ。夜は、乳離れの三歳になる男の子が、病的な(恐らく嬰児のヒステリイであろうか)力のない声で、一晩中泣き続ける。五歳になるその上の女の子は、頭から顔から腫物が出来て、夜になるとそれが痛いのか痒いのか、これも又ヒステリイの様に泣き叫ぶのだ。四十歳の彼等の母親は、それをまあどんな心持で眺めているのであろう。しかも彼女の腹には、もう又、五月の子が宿っているのだ。だが、これは私の裏の郵便脚夫の家に限ったことではない、その隣にも、その裏にも、似た様な子福者がいくらもある。そして、広い世間には、もっともっと、郵便脚夫の十層倍も不幸な家庭が、沢山あることであろう。
そんなことを、取止めもなく話合っている内に、短い秋の日がもう暮れ初めたのである。青かった空が薄墨色になり、近所の家々には白茶けた燈火が点じられ、そうして土の上に腰をおろしているのが、妙にうそ寒くなって来た。そこで、私達は立上って、私は私の家に、友達は彼の家に、帰ることにしたのである。が、その時、ツト立上った私は、今迄背中を向けていた丘の上に、何かの気はいを感じて、何気なく振り向くと、そこには、夕暗の空を背景にして、木像の様に一人の女がつっ立っていたのである。