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ひかくしんわがく
比較神話学
高木 敏雄
在线阅读高木 敏雄《比較神話学(ひかくしんわがく)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 177,624 字 · 348 页
漁夫、海中に浴せる天女の、松の梢に懸け置きし羽衣を奪う。天女去る能わず。哀求して漸く之を得て天に飛び去る。これ即ち、日本に於ける、羽衣説話の最初の形式に、稍近きものなり。或伝承に従えば、漁夫羽衣を取りて返さず。天女止むを得ずして、其妻となる。後に至りて、夫の出でたる間に、羽衣を取りて飛去る。他の伝承に従えば、昔丹波国なる或河辺に、天女八人降りて浴す。或老翁之を見て、其中の一人の衣を取りて隠くす。天女飛び去るを得ずして、老翁の子となる。或は子となると云い、或は妻となると云い、或は羽衣を返せりと云い、或は返さずと云う。その説く所互に異同あるも、天女の沐浴と、衣無くしては飛去る能わずとの二点に於ては、凡ての伝承全く一致す。即ち此二点は、羽衣説話の骨子に属す可きものなり。琉球説話に於ても、等しく此二点あり。天女或農夫の井の中に浴す。農夫傍の松に懸れる衣を奪う。天女その妻となること十年にして、一子を生む。是に至りて、農夫の不在に乗じて去る。
以上の凡ての伝承は、互に異同あるも、天女が暫く人間界に留まりしことは、何れも之を説くことを忘れず。依て思うに、漁夫が天女の物語に感じて、直にその羽衣を返せしとの謡曲の説は、恐らく、詩人の故意に加えし筆の跡にして、説話のはじめの形には非ざる可し。