轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

みずのしたのいし

水の下の石

山本 周五郎

「新武道」1944(昭和19)年5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,791 字 · 28 页

青空文庫

合戦のとき形勢が悪くなるとか、永陣で退屈しはじめるとかすると、まるでつかぬことを話しだすのが大七のきまりだった、少しまえ十人がしらにとりたてられてからは暫くその癖も出なかったが、今ひさしぶりに用もないことを云いだしたのは、かれも相当こたえてきたのに違いない、意地の強いかれの顔が見えるようで、小弥太はもういちどそっと微笑した。それから五十歩ほどもいったであろうか、安倍大七がまたなにか云いだそうとしたとき、とつぜん列の先のほうでからからとはげしい物音が起った、それは鉄片や板きれや鈴などの打ちあうけたたましい音で、しかもその音が音を呼びつつ、糸を引くように左右へ遠くからからと鳴り伝わっていった、百余人の兵たちは愕然とわれにかえった、「鳴子だ……」という囁きが前のほうから聞え、列の動きがはたと停った、敵の張ってある鳴子にぶっつかったのだ、――もうそんなに敵の間近に来ていたのか、そう思ってみんな身をひきしめ、鉄砲組は銃を、槍組は槍をひしと執り直した。「伏せろ」という命令が聞えた、「音をたてるな、ゆるすまでは動いてはならん……」それはこの隊の旗がしら竹沢図書助の声だった、そして兵たちが狭い