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みずのおんな

水の女

折口 信夫

「民族 第二巻第六号」1927(昭和2年)年9月、「民族 第三巻第二号」1928(昭和3年)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,525 字 · 38 页

青空文庫

一二 たなばたつめ

源河節の「源河走河や。水か、湯か、潮か。源河みやらびの御甦生どころ」などは、時を定めて来る常世浪に浴する村の巫女の生活を伝えたのだ。

常世から来るみづは、常の水より温いと信じられていたのであるが、ゆとなるとさらに温度を考えるようになった。ゆはもと、斎である。しかしこのままでは、語をなすに到らぬ。斎用水あるいはゆかはみづの形がだんだん縮って、ゆ一音で、斎用水を表すことができるようになった。だから、ゆは最初、禊ぎの地域を示した。斎戒沐浴をゆかはあみ(紀には、沐浴を訓む)と言うこともある。だんだんゆかはを家の中に作って、ゆかはあみを行うようになった。「いづるゆかは」がいでゆであるから推せば、ゆかはも早くぬる水になっていたであろう。ゆかはが家の中の物として、似あわしくなく感じられだしてくると、ゆかはを意味するゆがしだいにぬる水の名となってゆくのは、自然である。

一二 たなばたつめ

ゆかはの前の姿は、多くは海浜または海に通じる川の淵などにあった。村が山野に深く入ってからは、大河の枝川や、池・湖の入り込んだところなどを択んだようである。そこにゆかはだな(湯河板挙)を作って、神の嫁となる処女を、村の神女(そこに生れた者は、成女戒を受けた後は、皆この資格を得た)の中から選り出された兄処女が、このたな作りの建て物に住んで、