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さばくのこと
沙漠の古都
国枝 史郎
「新趣味」博文館 、1923(大正12)年3月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,076 字 · 220 页
人猿以外の敵に対しては一同団結して対うこと、食物は一時に貪らず一ヵ所に集めて貯える事……これらが主なるものであった。この不文律の執行者が彼らの王たる老人で、老人の課する刑罰をば人猿どもは怯じ怖れた。
人猿達の生活は極端に自由で快活であった。彼らは木の上で生活しまた木の上で睡眠を取りそして木を渡って遊戯した。彼らの日常の食物は木の実、草の根、鳥獣などで、彼らは勤勉によく働いて沢山の食物を漁るのであった。湖水を中心に原始林は十里四方に拡がっていたが十里四方の大森林こそ人猿達の王国であった。彼らは広大のこの森林で数十万年の昔から数十万年後の今日まで、子を産み、育て、繁殖し、ダーイニズムより超越して、原始的生活の範疇内でその生活を存続し、今日にまで至ったのであった。それにしてもどうして長く逞しい尻尾を持っているのだろう? それは格別不思議でもない。恐らくは彼らはあの尻尾を数十万年の昔から数十万年後の今日まで、盛んに使用して来たのだろう。そのため尻尾があのように立派に発達したのであろう。利用即発達の大真理が、ここで用立った訳である。
ある日、私とダンチョンとは森林の中を彷徨っていた。