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さばくのこと

沙漠の古都

国枝 史郎

「新趣味」博文館 、1923(大正12)年3月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,076 字 · 220 页

青空文庫

私はとにかく何より先に有尾人達の住んでいる森林の中へ分け入って私の疑問を試みようとした。しかし不思議にも人猿どもは、私を絶えず監視して森の奥を訪うのを拒絶した。そしてもちろん岩窟の老人も私が森林へ分け入ることを非常に嫌っているらしかった。

そこで私はこう思った――

「何より先に人猿どもを自分の味方に慣けなければならない」

とは云えどうしてなつけたものか最初は考えにも及ばなかったがその内一策を考え出した。私は美味い食物によって彼らを釣ろうとしたのであった。彼らは半分人間ではあったが煮焚きの術を知らなかった。それを私は利用したのである。

ある日私はいつものように自分の小屋の石のストーブで兎の肉を燻ぶしていた。それがすっかり出来上がった時果実の絞り汁に充分浸して小屋から外へ出て行った。

四十二

森林には大勢の人猿どもが彼らの生活を営んでいたが、私を見ると警戒するように互いに何か叫び合った。私は老人に教わった人猿どもの言葉のうち、簡単な単語だけを知っていたので、最初に行き逢った人猿に向かって、

「焼き肉。食え!」

と彼らの言葉でまず元気よく云って置いて持って来た燻肉を投げてやった。