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さばくのこと

沙漠の古都

国枝 史郎

「新趣味」博文館 、1923(大正12)年3月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,076 字 · 220 页

青空文庫

それだのに地下のあの室には、燈火と歌声と歓楽とが、一杯に充ちているらしい。

私はしばらく考えた後、その室へ行こうと決心した。暗黒の恐怖に蝕れながら、ぼんやり地上に立っているより、たとえそれ以上の恐ろしいことが、あの地下の室にあるにしても、自分から行ってその恐ろしさを、経験した方が有意味であると、心に思ったからである。

そこで私は身を起こし、螺旋階段へ足をかけた。そして垂直の階段をズンズン下へ降りて行った。十分ほど時間を費した時、とうとう私は地下の室へ、自分が来た事を発見した。

室の三方は壁であった。天井の中央からはシャンデリアが無数の電球を下へ向けて、室を明るく照らしている。飾りらしいものはないけれど、室の中央に一脚の丸卓子が置いてあって、その上に一葉の紙があり、紙には設計図が書かれてある。それにもう一つ、巨大の像――支那服を纒った老人の、巨大の像が室の口に、居然と置かれてあるのであった。

十五

私はその像を見ているうちに、誰の銅像だか解って来た。すなわちそれは既に死んだ袁世凱の像である。どういう訳で袁爺の像が、ここに置かれてあるのだろうかと、私はしばらく考えて見たが、それの解ろう道理がない。