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ちゅうもんのおおいりょうりてん
注文の多い料理店
宮沢賢治『注文の多い料理店』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『注文の多い料理店』序、注文の多い料理店、さるのこしかけ、茨海小学校、どんぐりと山猫、狼森と笊森、盗森、烏の北斗七星、月夜のでんしんばしら、水仙月の四日、山男の四月、かしわばやしの夜、鹿踊りのはじまり、雪渡り、気のいい火山弾、土神ときつね、楢ノ木大学士の野宿。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,269 字 · 223 页
その足跡をつけて行った。
どかどか鳴るものは心臓
ふいごのようなものは呼吸、
そんなに一生けん命だったが
又そんなにあたりもしずかだった。
大学士はふと波打ぎわを見た。
涛がすっかりしずまっていた。
たしかにさっきまで
寄せて吠えて砕けていた涛が
いつかすっかりしずまっていた。
「こいつは変だ。おまけにずいぶん暑いじゃないか。」
大学士はあおむいて空を見る。
太陽はまるで熟した苹果のようで
そこらも無暗に赤かった。
「ずいぶんいやな天気になった。それにしてもこの太陽はあんまり赤い。きっとどこかの火山が爆発をやった。その細かな火山灰が正しく上層の気流に混じて地球を包囲しているな。けれどもそれだからと云って我輩のこの追跡には害にならない。もうこの足あとの終るところにあの途方もない爬虫の骨がころがってるんだ。我輩はその地点を記録する。もう一足だぞ。」
大学士はいよいよ勢こんで
その足跡をつけて行く。
ところが間もなく泥浜は
岬のように突き出した。
「さあ、ここを一つ曲って見ろ。すぐ向う側にその骨がある。けれども事によったらすぐないかも知れない。すぐなかったらも少し追って行けばいい。それだけのことだ。