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わたしのりれきしょ

浅沼稲次郎 私の履歴書ほか

浅沼 稲次郎

浅沼稲次郎『浅沼稲次郎 私の履歴書ほか』。同一底本的分册已合并为一书。收入:私の履歴書、浅沼稲次郎の三つの代表的演説、まあまあ居士の弁。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 46,264 字 · 91 页

青空文庫

六、鍛え上げたガラガラ声

あわや血の雨の降る大乱闘になろうという時、救いの神ともいうべき警官が現われ平野警察署長青木重臣君(のちの平沼内閣書記官長、愛媛県知事)の命令で、労使ともに検束されてしまった。留置場はまさに呉越同舟、敵も味方も一しょくたにされていたが、そのおかげで留置場内で話がまとまり、争議が解決したのだからケッ作だ。青木署長もなかなか思い切ったことをしたものである。

演説をやれば「注意、中止、検束」、デモでは先頭にいて「検束」という具合で、この当時の社会運動家の中ではわたくしが検束の回数では筆頭だったようだ。

六、鍛え上げたガラガラ声

沼は演説百姓よ

汚れた服にボロカバン

きょうは本所の公会堂

あすは京都の辻の寺

これは大正末年の日労党結党当時、友人の田所輝明君が、なりふり構わず全国をブチ歩く私の姿をうたったものだ。以来演説百姓は私の異名となり、今では演説書記長で通っている。私は演説百姓の異名をムシロ歓迎した。無産階級解放のため、黙々と働く社会主義者を、勤勉そのもののごとく大地に取組む農民の姿にナゾらえたもので、私はかくあらねばならぬと念じた。

まことに演説こそは大衆運動三十余年間の私の唯一の闘争武器であった。