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うかぶひこうとう

浮かぶ飛行島

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页

青空文庫

私の心配なのは、この点であります」

「ばか奴!」とリット少将は、あらあらしく叱りとばした。

「それが灯火管制の最中に、責任ある者のいうことか。なんでもよい。敵機に、この飛行島の梁一本でも壊されてたまるものか。命令じゃ。電灯線への送電を即時中止せい」

「ははっ、――」

一言もなかった。担任士官は、すごすごと少将の前を退いた。

それから数分ののち、電灯線への電流はすべて止められた。ここにはじめて飛行島は、完全に闇の中に包まれてしまった。

不意うちの送電中止に、飛行島のあちこちでは大まごつきであった。

臆病な白人の細君たちの中には、暗黒と敵襲との二重の恐しさに悲鳴をあげて泣き叫び、寝床の中にもぐりこむやら、ぶるぶる慄えながらかけまわるやら、大騒がはじまった。

「日本の潜水艦が、すっかり飛行島のまわりをとりまいてしまったってよ」

「それよりも大変なことが起きたのよ。海底牢獄に閉じこめてあった囚人を、誰かが行って解放してしまったそうよ」

「あっ、皆さん、しずかに! 爆音がきこえる。日本の飛行隊がいよいよ攻めてきた。ああどうしよう。あなたあ、――」

そういう騒の最中に、真暗な無線室の外を、どどどっと靴音をひびかせて通りすぎる一団がある。