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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
であった。
壊れた窓硝子
飛行島の鋼鉄宮殿の中。
そこは重傷の杉田二等水兵がベッドに横たわっている病室であったが、入口の扉を背に、可憐な梨花がしくしく泣いている。
「梨花。こんなたいへんなことをしでかして、お前どう詫びますか」
と、かんかんになって怒っているのは、白人の看護婦だった。見れば、病室の大きな窓硝子が二枚も、めちゃめちゃに壊れている。
床の上には、雑巾棒がながながと横たわっている。
白人看護婦に叱りつけられて、梨花は声をあげて泣きだした。
杉田二等水兵はベッドに寝たまま、枕から頭をもたげ、
「おいおい、いい加減にして喧嘩はやめにしろ。――といったって、俺の日本語は一向相手に通じやしない。どうもこいつは弱った」
と、また頭を枕の上にどしんとおいて、眼をつむった。
「この硝子は高いんですよ。お前なんかが一年働いたって、二年働いたって、買えるような硝子じゃなくってよ」
と、白人の看護婦は、にくにくしげに梨花をにらみつけた。どうやら、まだまだ小言が足りないといった様子だ。
「あ、そうだ」
杉田二等水兵はまた枕から頭をもたげた。そして両手を出して、手真似をはじめた。