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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
少将は、二言三言、なにかしら囁いた。
スミス中尉の顔色が、このとき蒼白にかわった。
それも道理であった。少将は、賞金はどうするつもりなのか、「七名の中から一名をとるに及ばぬ。七名とも残らず射殺してしまえ」と、常になき断乎たる命令をいい放ったのであった。
ああ何たる非道! 射殺されることになった罪なき七名の運命こそ、哀ではないか。
いや諸君、それよりも気がかりなのは、この七名の中に、本物の川上機関大尉がいて、彼等と運命を共にしたのではあるまいか。もし、そうだったら帝国の安危にかかわる重大使命はどうなるというのだ。
闇夜の試運転
予定からちょうど二十四時間も遅れて、海の大怪物浮かぶ飛行島は、いよいよその巨体をゆるがせつつ、しずかに海面をすべりだした。
墨をながしたような闇夜だった。
ああなんたる壮観であろうか!
これがもし昼間であったら、飛行島の乗組員たちは、手のまい足のふむところをしらないほど、狂喜乱舞したことだろう。
だが、昼間の航行は、絶対に禁物であった。そんなことをすれば、たちまち世界の注意は、この飛行島のうえにあつまり、今後極秘の行動をとることは、はなはだむずかしいことになるであろうし、また飛行島が隠しもっている意外な武器も明るみに出て、その攻撃力が少からず殺がれてしまうであろう。