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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
ここはその飛行島の機関部――
重油の弁を巧みに開いて、飛行島のスピードを今二十ノットに上げたばかりの機関部員は、面長の東洋人であった。
(二十ノット、出ました)
と、伝声管のなかにおとした音声も、どっしりとおちついている。まことに頼もしい機関部員だ。
それを傍から見下している機関大尉フランクの顔は、これはまた反対に、非常に険しい。彼の右手は、ピストルのサックを探っているではないか。
東洋人にはフランクのこうした様子が見えないのか、彼は顔色一つかえないで、じっとメートルの面を見守っている。
「エンジンはつづいて好調」
かの東洋人は、憎いほどものしずかな調子で、だが歯ぎれのよい英語で、伝声管から司令塔へ報告する。
「おい! 貴様は誰だ?」
フランクは憤りをこらえかねて呶鳴りつけた。が、東洋人は、びくともしない。いや、自分のことと思っていないのか、
「はあ、はあ、リット少将閣下ですか。エンジンの調子は見込よりもむしろ実際の方がずっとよろしいようであります。――はあ、どのエンジンにつきましても、すでに検査をおえました。さすが大英帝国の機械だけあります。――はあ、はあ、承知いたしました。