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うかぶひこうとう

浮かぶ飛行島

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页

青空文庫

またつづいて、電灯はがちゃんと消える。

室内は暗黒となった。

エンジンを操作しながら、川上機関大尉の情の早業だったのだ。

実をいえば、第四エンジン係のゼリー中尉以下がぶっ倒れたのも、川上機関大尉のやったことであった。彼は、万一の用にもと肌身はなさずつけていた、ある無色無臭の毒瓦斯を室内に放ったのであった。

フランク大尉に、三十六基のエンジンの仕様書をさがして持ってくるようにと、副官の声色を使って電話をかけたのも、これまた川上機関大尉であった。

それからまた印度人の脱獄も、川上機関大尉が手を貸したのであった。その中には、彼がこの飛行島へ上陸以来、人にかくれていろいろ彼の面倒をみてくれた印度志士コローズ氏もまじっていたのだ。

なぜ川上機関大尉は、こんなことをやりだしたのか?

彼は、飛行島というものを、隅から隅まで調べてゆくにしたがって、それが彼の考えていたよりもはるかに恐しい攻撃武器であることが分かったからだ。

はじめのうちは、構造や性能などがあらまし分かれば、あとは勇敢無比を世界に誇るわが海軍の爆撃機や軍艦でもって、とにかくぶっ潰せるものと思っていた。