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うかぶひこうとう

浮かぶ飛行島

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页

青空文庫

残ったのは、伝令と称する下士官ひとりとなった。

リット提督は、不安の面を向け、

「おい、下甲板で、どんなことが起ったのか。早くその様子を話して聞かせよ」

「はい。大変なことになりました。怪漢はやがてこっちへやって来るかもしれません。提督、どうか奥へおはいり下さい」

「うむ、――」と、提督は、後退りしながら、はっとした思いいれで、

「おお、お前は誰か」

「私は――」

「お前は怪我をしているじゃないか。胸のところが、血で真赤だぞ。お前はそれに気がつかんのか。おや、右の腕も――」

「リット提督閣下。御心配くだすって、なんとも恐れいります。が、まあ中へおはいり下さい」

かの血まみれの下士官は、提督につづいて、ひらりと室内へはいった。そして扉をぴたりと閉めた。そのとき提督は、かの下士官が、なにか棒切のようなものを、後にさげているのを認めた。それは室内にはいって、電灯の光を反射して、きらりと閃いた。

「うむ、お前は――」

提督は、驚きのあまり、言葉を途中でのんだ。そして顔面蒼白!

この下士官こそ、誰あろう、われ等が大勇士、川上機関大尉、その人であったのだ。

巨人対巨人