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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
いまにベルが鳴って、無電班長が電話に出る」
「そうじゃありますまい。ほら、そこに見えるのは何ですか。貴下が卓子の下から右手に掴んだものは――」
「えっ」極度の狼狽をみせて、提督は態度を一変した。彼の顔は、興奮に燃えている。その右手には、一挺のピストルがしっかと握られ、狙はものの三メートルとはなれていない川上機関大尉につけられ、どどどどーんとつづけざまに数発の銃声!
怪無電
「卑怯者!」
と叫んだのは、川上機関大尉だった。
大喝一声、とびくる銃弾をものともせず、彼はぱっと身をひるがえして、提督の手もとにおどりこんだ。
近距離の射撃が、一向、効を奏さなかったのは、提督があまりに気をあせっていたためであった。
「しまった」
と思ったときは、もうすでに遅かった。ピストルを握っていた提督の右手首は、硬いもので強くたたかれた。
(斬られた?)
と思ったが、違っていた。提督はピストルをぽろりと床に落した。右手はまだちゃんとついていた。だが切れて落ちそうに痛む。左手でそれをおさえて、提督はへたへたと絨毯のうえに膝をついた。
川上機関大尉は、刀の背で峰打をくわせたのだった。