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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
爆弾庫の口は、鋼鉄宮殿の一角に隠れて設けられてあり、爆弾ははるか下の艦底にある爆弾庫から、エレベーターにのって入れかわり立ちかわりするすると上ってくるのであった。
川上機関大尉が眼をつけたのは、いま飛行機に積もうとしている爆弾であった。
爆弾は、爆弾庫口から水兵の手によって甲板に運ばれ、ひとまず飛行機エレベーター脇の甲板の隅に積みかさねられた。すると飛行機づきの整備兵が、その爆弾の山から一個ずつとって、飛行機の胴につりさげるのであった。川上機関大尉は、なにくわぬ顔をして、爆弾の山に近づいた。
「さあ、今だ」
彼は、大胆にも、無造作に一個の二キロ投下破甲爆弾をむずと小脇に抱えとるや、なに食わぬ顔をして、すたすたと歩きだした。
誰も、これを怪しむ者がなかったのは、天佑というべきであった。誰も忙しく立ち働いていたので、気がつかなかったのだ。
彼は悠々せまらぬ態度で、鋼鉄宮殿の中にはいった。中から一人の水兵が出合いがしらに、川上機関大尉にぶつかった。はっと思う瞬間だったが、水兵はおどろいてとびのくなり、挙手の敬礼をして走りさった。
だが、油断は大敵であった。