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うかぶひこうとう

浮かぶ飛行島

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页

青空文庫

すると扉が開いて、思いがけなく副長が入って来た。その手には一枚の受信紙を持って――。

長谷部大尉は直ちに直立して、挙手の礼をささげた。

「只今これを受信いたしました」

さしだす紙片を艦長は手にとって、読み下した。

「コンヤハンドレペイジチヨウジユウバクゲキキ五ダイトウチヤクシタ。トウサイバクダンハ――トツゼンキケンセマル、ムセンキカイハツケンセラレタ……」

艦長の顔色が変った。

「うむ、『今夜ハンドレペイジ超重爆撃機五台到着した。搭載爆弾は――』のところで本文が切れている。それから先は本文ではなくて警報だ。『突然危険迫る。無線機械発見せられた……』とあるから、さては川上もその場で捉まってしまったか。ざ、残念だ」

艦長室の三人の士官は、無念そうに互の眼と眼を見合わせた。

大任を帯びて飛行島に渡った川上機関大尉も、遂に使命半ばにして斃れてしまったのであろうか。

途中で切れた無線電信は、そも如何なる波瀾が飛行島に巻きおこったことをものがたるのであろうか。

不思議な看護人

話は、すこし前にもどる。

杉田二等水兵が自殺を決心して、手錠をはめられたまま飛行島の甲板から海中にとびこもうと走るうち、うしろからスミス中尉がピストルを撃ったことは、みなさん御存じのとおりである。