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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
なかなかいい香だ」とハバノフ氏は犬のように鼻をならして、茶碗を口のところへ持っていった。
「お気に入ったら、まだありますよ」
「ええ気に入りましたね。大英帝国は、世界中いたるところ物産にめぐまれた熱帯の領土を持っていますね。まったく羨ましいことです。しかるにわが国は、いつも氷に閉ざされている。せめて一つでもいいから、冬にも凍らない港が欲しいと思う。いかがですな。大英帝国はわがソ連のため、アフリカあたりに植民地をすこし分けてくれませんか」
「あっはっはっ、なにを冗談おっしゃる。冬でも凍らない港なら、東洋にいくらでもあるではありませんか。大連、仁川、函館、横浜、神戸など、悪くありませんよ。なにもかも、貴国の決心一つです」
と、リット少将は、うまく相手の話をはぐらかした。
「しかし大英帝国は――」
と、なおもハバノフ氏が突込もうとすると、
「おおそうだ、ハバノフさん。昨夜捕虜にした日本海軍の水兵をあなたに見せましょうか。さあ、これから御案内しますよ」
と、リット少将は椅子から立ちあがった。
この巨弾は、少将の思ったとおり、ハバノフ氏の好奇心をたいへんうごかした。