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うみからきたたまご

海からきた卵

塚原 健二郎

「赤い鳥 第二十一巻第五号」赤い鳥社、1928(昭和3)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,534 字 · 10 页

青空文庫

二

まもなく爺さんは、四角な桐の箱に入った武者人形の包みをさげて、港の方へかえって行きました。そして、さもまんぞくそうに、つぶやきました。

「やれやれ、やっとセルゲイとの約束をはたすことができた。わしはもう日本もみたし、今度国へかえったら、これで船乗りはやめよう。」

二

ミル爺さんの船が、印度のさる港へ入ったのは、それから十五日目のことでした。爺さんは、はとばに近い酒場で、好きな椰子酒をのんでいると、そこへ船長が入ってきました。

「爺さん、出帆は今夜の十時だよ。おまえ早くかえって用意をしてくれ。」

船長が申しました。

「船長さん、きっと、ひどいあらしがきますよ。さっき燈台のまわりに、鳥がたくさん飛んでいましたからね。」

爺さんは、長年船にのっていますので、夕方燈台のまわりに鳥がとんでいたり、犬の毛がしめっていたりすると、きっとあらしのくるということをよく知っているのでした。

「なに、大丈夫だよ。外にでてみなさい。とてもたくさん星がでているから。」

船長は平気でした。

その晩、出帆したミル爺さんの船は、印度洋のまん中であらしに会い、いつのまにか航路を過って、暗礁にのり上げてしまったのです。