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うみからきたたまご
海からきた卵
塚原 健二郎
「赤い鳥 第二十一巻第五号」赤い鳥社、1928(昭和3)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,534 字 · 10 页
三
それをみるとミル爺さんは、
「おやおや、きれいな卵だね、ジム。それをわしにおくれよ。そうしたら、この蟹をみんなおまえにやってもいい。」と言いました。爺さんは、このめずらしい小鳥の卵を、せめてものみやげにしようと考えたのです。
「ああいいとも。じゃこの蟹はわしがもらったぜ。」
ろくろくお腹の足しにならない小さな卵と、蟹ととりかえることに不足のあろうはずがありません。ジムは大よろこびで、二つの蟹を平らげてしまいました。
「これで、やっとおみやげができたよ。」
ミル爺さんは、うれしそうに言って、その卵を大切にハンカチにつつんで、上着のポケットにしまいこみました。
三
ミル爺さんとジムは、次の朝、運よく沖を通るイギリスの大きな汽船にすくわれました。そして二週間の後まる二カ月ぶりで故郷の港へ帰ってきました。
ミル爺さんは、家へ帰ると、さっそくテイブルのまわりに三人の家族をよんで、はじめてみた日本のこと、それから、難破してイギリス船に助けられたことを、涙をうかべながら語りました。
「つまんないな。じゃあ、お爺さんのおみやげはみんな海の中へ沈んでしまったんだね。」
セルゲイはつまらなそうに言いました。