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うみからきたたまご
海からきた卵
塚原 健二郎
「赤い鳥 第二十一巻第五号」赤い鳥社、1928(昭和3)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,534 字 · 10 页
「そうだ、日本で買ったおみやげはね。だけど、セルゲイや、お爺さんのおみやげは、ちゃんとあるよ。」
爺さんは、笑いながらポケットに手をつっこみました。
セルゲイは、眼をくるくるさせて、ぜんたいお爺さんのポケットからは、何が出るだろうとみつめています。
すると爺さんは、ハンカチにつつんだれいの卵をとり出しました。
「これさ。これがお爺さんのおみやげさ。」
「なんだ、卵か。つまんないな。」
セルゲイはがっかりしたように言って、ころころとテイブルの上で卵をころがしています。
「ああ、これを割ってビスケットにぬって食べるとそりゃおいしいよ。わたしは子どものとき、市長さんのとこのお誕生日に食べさせてもらったことがあったっけ。」
お婆さんは、そばからセルゲイの心をひくように言いました。
「そうだ、婆さんや。早くお茶を入れてビスケットにぬっておやり。」
爺さんは言いました。しかしミル爺さんは、せっかく遠くから大切にして持ってきたのに、今割ってしまうのは惜しいと思いました。
「婆さんや、今度の航海の記念に、せめてこの卵のからだけでもしまっておきたいから、上手に割っておくれ。