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うみへ

海へ

小川 未明

「日本少年」1918(大正7)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,099 字 · 7 页

青空文庫

「黙って帰ってきた。糸屋なんかいやだ。もうどうしてもゆかない。」

と、龍雄はいってききませんでした。

「そんなことをいうもんでない。しんぼうしなくては人間になれない。謝って帰らなければならない。」

と、父親も、母親もいいましたけれども、どうしても龍雄はいうことをききませんでした。

母親の知らせによって、しんせつなおじいさんがさっそくやってきました。

「いやなものはしかたがない。さあ家へお上がり。先方は私からよくいっておく。また私がよいところを捜してあげるから。」

と、おじいさんはいいました。

村の子供は、龍雄が家に帰ってきたことを知ると驚きおそれました。また龍雄が外に出ると子供を泣かしてくるので、彼の母親は心配し、気をもみました。

一日、しんせつなおじいさんが、龍雄の家へやってきました。

「いいところがあった。四里ばかり離れた田舎だが、なに、汽車に乗ればすぐにゆけるところだ。大きな酒屋で小僧が入り用だというから、そこへ龍雄をやってはどうだ。」

といいました。両親は、おじいさんの世話だから、安心してすぐにやることに決めました。

「龍雄や、今度はしんぼうしなければならんぞ。