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きえたうつくしいふしぎなにじ
消えた美しい不思議なにじ
小川 未明
「童話」1921(大正10)年8月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 8,038 字 · 16 页
下界から遠く空を仰ぐと、天の河の色がだんだんと白くなって、そのときから黄金に輝いて見えなくなったのであります。
一方、灰色の着物を着た姉は、ふくろうや、からすのいうことを信じて、自分も下界へいって、その困ったり、苦しんだりしている人間のようすを、つくづくと見てきたいものだと思いました。
灰色の着物を着た姉は、べつに姿を変える必要もなかったので、ある星の光ももれない真っ暗な真夜中に下界へ降りてきたのです。
そこは広い野原の中でありました。けれどわざわいを下界にまいた姉は、どんなさびしいところを歩いても平気でありました。野原の中には林がありました。林をぬけると大きな墓地があります。そこにはたくさんの墓がありました。古いのや、まだ新しいのや、丈の高いのや、低いのがありました。それをば、闇をすかして見まわしながら、姉はさも心地よさそうに笑いました。そして墓地を過ぎて、丘にさしかかりますと、そこには大きな病院があります。髪の毛を長くうしろに垂らした姉は、病院の内部に忍び込んで、病人のいるへやを、一つ一つのぞいて歩きました。中には青い顔をして、うめいて、眠られずにいるのもあります。