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おんせんへでかけたすずめ

温泉へ出かけたすずめ

小川 未明

「赤い鳥」1928(昭和3)年3月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,988 字 · 10 页

青空文庫

ひとり、傷のついたすずめは、彼らの仲間入りをすることができなかった。そんな勇気がなかったばかりでなく、傷口が痛んで、血がにじんでいたのです。

すぎの木の枝に止まって、体をふくらませて、哀れなすずめは寒い風に吹かれていました。すずめは、いつ、その体が、高い木の枝から下へ落ちないとはかぎらないと思ったほどふらふらしていました。

もはや、彼は、空腹を感ずるどころでありません。ただ、うとうととして、苦痛をこらえて、目を開けたり閉じたりして、木の枝にしがみついているばかりでした。そのうちに、日は、まったく、暮れかかったのです。

そこへ、曇った空に、羽音をさせて、一羽のからすが飛んできたかと思うと、ちょうど、すずめの止まっている上の枝にきて下りました。すずめは、夢うつつの間に、自分は、とびにさらわれたのでないか? それでなければ、あのすばしこい小たかにとらえられたのでないか? と気をもみましたが、いまは、どうすることもできなかった。傷ついた身を運命にまかせるよりしかたがなかったのでした。

「すずめさん、どうなさいました? たいへんに元気がないようだが、気分でも悪いのですか……。