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おんせんへでかけたすずめ

温泉へ出かけたすずめ

小川 未明

「赤い鳥」1928(昭和3)年3月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,988 字 · 10 页

青空文庫

雪が降って、田や、畑をうずめてしまうと、すずめたちは、人家の軒端近くやってきました。もう、外に落ちている餌がなかったからです。朝早くから、日暮れ方まで、窓の下や、ごみ捨て場などをあさって、やかましく鳴きたてていました。

そのうちに、どこからか、彼らに向かって、空気銃をうったものがあります。一羽のすずめは、羽の付け根のあたりを傷つけられました。そして、もうすこしでその場にたおれようとしたのを、がまんして、やっとあちらの森まで、息をせいて飛んでいきました。

ほかのすずめたちも、この思いがけないできごとに出あって、どんなにおどろいたかしれません。

「ああ、怖ろしかった。」といって、あるものは、畑の中のかきの木の枯れ枝に止まり、あるものは、屋根の上に飛んでいって、目をみはっていました。

「どこから、あんな弾丸が飛んできたのだろう……。」と、彼らは、注意深く、あたりをながめていました。

しかし、意地ぎたない、これらのすずめたちは、また時がたつと、餌のありそうなところへおりていきました。こんどは、前のように、口やかましく、しゃべるかわりに、目を四方へくばって、注意を怠らなかったのであります。