轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
「サンデー毎日」大阪毎日新聞社、1926(大正15)年1月3日~5月2日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 69,335 字 · 137 页
た。
「君は僕の鞄の中のものを見ましたか」
そういって彼にじっと見つめられますと、何の恐れる所もない筈の私までが、多分まっ青になっていたことでしょう、動悸が早くなって、腋の下からタラタラと冷いものの流れるのを感じました。
「見ました」
私は相手を興奮させない様に、出来るだけ低声で、然し本当のことを答える外はありませんでした。
「不審に思いましたか」
「不審に思いました」
そして暫く沈黙が続くのです。
「君は恋というもののねうちを御存じですか」
「多分知っていると思います」
それはまるで学校の口頭試験か、法廷の訊問でありました。普通の際なれば、直にも吹き出してしまう所でしょうが、その滑稽な問答を、私達はまるで果し合いの様な真剣さで続けたものです。
「それでは、恋のためのある過失、それはひょっとしたら犯罪であるかも知れません、少しも悪意のない男のそういう過失を、君は許すことが出来るでしょうか」
「多分出来ます」
私は十分相手に安心を与える様な口調で答えました。私はその際も、河野に好意を感じこそすれ、決して反感は抱いていなかったのですから。
「君はあの事件に関係があったのですか。