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げんぞうがはら

源蔵ヶ原

山本 周五郎

「週刊文春」文藝春秋新社、1962(昭和37)年12月17日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,843 字 · 28 页

青空文庫

おめえのほかに、本当のことを話せる者はねえんだ、夫婦約束までした相手が、身投げをして死んだんだぜ、泰二、こいつは冗談ごとじゃねえぞ」

泰二の顔がさっと白くなり、頬の肉のひきつるのが見えた。

「それはおれの云いたいことだ」泰二は吃りながら云った、「それはおれの云いたいことだ、お光はおれが夫婦約束をした女だ」

「なぜ夫婦にならなかった」と忠太が云った。

「おれの」と泰二はまた吃った、「お光のほうの家族のこともあり、おれのほうもすぐにはどうにもならなかった、もう一年、いや、もう半年もしたらって、そう話しあっていたんだ、半年もしたらどうにかしようって、九月の末のことだ、本当に二人で相談しあったんだ、みんなが信じようと信じまいとおれの知ったこっちゃねえ、おれはお光と夫婦になるつもりだったし、嘘も隠しもねえ命がけで好きだったんだ、それを、そんな」唇がふるえて言葉が途切れた、「――子供ができて、世間に顔向けがならなくなって、身投げをして死ぬなんて、そんなことがあっていいもんか、おめえたちがなんのためにおれを呼びつけて、こんなけじめをくわせる